ウサギが急にじっとしてつらそう(胃拡張、小腸閉塞)

(本稿は手術写真を含みます。苦手な方はご注意ください。)

 

 

 

ウサギの小腸に毛玉が詰まってしまう小腸閉塞という病態は、ウサギの緊急性疾患としてとても重要な病気です。

腸が詰まることで腸液と胃液がたまってしまうのですが、ウサギは嘔吐することができません。

よって、結果的に胃の中に大量の胃液がたまり、胃拡張という状態が引き起こされます。

急速に血液中から消化管内に液体の移動がおこるため、循環血液量が低下することでショック症状を起こします。

また、拡張した胃は内臓血管を圧迫することでさらに循環不全と強い痛みを生じます。

 

このような小腸閉塞は、発生してから数時間~数日で急死を引き起こすこともあるため、正確な診断と治療が必要です。

治療は集中的な点滴治療・昇圧治療・鎮痛剤の投与から外科的介入にまで多岐にわたります。

不適切な対症療法を行って様子を見ることは非常に危険であるため、速やかに専門的なウサギの治療ができる病院を受診しましょう。

 

小腸閉塞によって胃拡張を生じたウサギのレントゲン写真。

 

 

手術によって小腸閉塞を確認した症例の術中写真。小腸内に硬い毛玉が確認できます。

本症例は手術によって閉塞の解除を行い、急速に回復し元気になりました。